女性研究者 -Vol.11- 人間科学部 児童学科


- 女性研究者

どのように、文学作品を国語教育に活用できるか

人間科学部 児童学科
木内 英実 准教授
神奈川県立小田原高等学校卒業 → 日本女子大学国文学科卒業 → 日本女子大学文学研究科博士課程前期日本文学専攻修了 → 日本大学国際関係学部EU 資料センター・国連寄託図書館副手 → 家業の手伝いの為、総本山醍醐寺にて仏道修行 → 小田原女子短期大学幼児教育学科勤務を経て現職 → 日本女子大学大学博士課程後期日本文学専攻修了、博士(文学)/神奈川県小田原市

子供の課題解決能力を高める研究

日本近現代文学を専攻し、「銀の匙」を代表作とする中勘助の作品研究(インド三部作)が博士論文のテーマでした。「銀の匙」は、子どもが他者や環境との関わりの中で経験する、葛藤や喜びなどの心理が描かれ、国内外で読み継がれている作品の一つで、課題解決力を養成する教材としても大きな可能性を持っています。文学作品を国語教育にどのように活用できるか、創作の秘密の解明と共に、大きな研究テーマです。中勘助をはじめとする日本文学の魅力を国内外に発信していけるよう、更なる研鑽に努めています。

近現代文学に魅力

大学1 年次に、一般教養の選択授業で出会った文学担当の先生から、日本の近現代文学の魅力を学びました。更に大学院や日本大学国際関係学部でご指導いただいた日本近代文学専門の先生方から作家と作品研究の方法を学び、夏目漱石の文学研究を経て、中勘助の文学を博士論文のテーマに定めました。子ども時代に大好きだった絵本「ぐりとぐら」の作者、なかがわりえこさんが中勘助の「銀の匙」ファンであったことも一つの契機となっています。

調査研究に情熱を!

中勘助が病気療養と疎開を兼ねて滞在した静岡市は、遺族より寄贈された中勘助蔵書や直筆原稿、創作ノート、書入れ本、書簡などを所蔵しており、同市葵区には中勘助文学記念館もあることから、12 年以上通い未公開資料の調査研究を行ってきました。仕事・研究の両立生活の中で、自宅が静岡と東京との中間地点であったことは、新幹線移動に便利で幸いでした。また夏目漱石が英国滞在中に読んだ新聞記事を発見するため春休みに大英図書館新聞図書館に通い、2 年目で目当ての記事を発見できたことは大きな喜びとなりました。

Work Style

趣味と実益を兼ねて、国内外の文学館・図書館・博物館巡りを時間を見つけて行っています。写真はシドニー郊外にあるオーストラリアの国民的児童文学作家メイ・ギブズの旧居を博物館にした場所です。メイ・ギブズの作品では、オーストラリア特有のゴムの実や、ユーカリの実、コアラなどの動植物が擬人化された妖精として描かれ、自然を中心にした物語が展開されています。

自然に恵まれた環境に身を置くことがマイブームです。その点では人間科学部児童学科の海外研修先の豪州Wollongong は写真の通り、大変景観の良い場所で学生と共に気分転換を図ることができました。居住地の小田原は海も山もあり、少し足を延ばすと箱根・熱海の温泉を楽しむことができます。通勤には不便であっても、この住環境を手放す気持ちにはなれません。

私が専門として研究する中勘助という作家は「ご縁( えん) ですね」が晩年の口癖だったそうですが、自分一人の研究や勉学の成果であっても、その背景には今まで指導してくださった先生方や支援してくれた友人・家族との「縁」があったことを忘れないでください。困難に出会っても、逃げずに今ある「縁」に感謝し、困難に立ち向かう姿勢を持つと、新たな「良縁」や幸運に恵まれ、自分の殻を破り思いがけない高みに至ることも夢ではないですよ。

 

女性研究者・社会で輝く卒業生たち